2022年01月24日
筆者(福永)は独立開業して22期目のコンサルタントだが
先日、独立以前の約30年前にご縁のあった方からご依頼があり
塾形式のセミナーの講師を務めた。
お忘れなくお声がけいただいたことに感激し
お役に立ちたい一心で仕事に臨んだ。
同業者の社長や後継者をメンバーとする勉強会である。
この業界の市場は長期低落傾向にある。
さらにコロナの影響もあり、市場は大幅に縮小している。
筆者がセミナーでまず申し上げたのは次の2点である。
1についてはランチェスター戦略の有名な部分だが
2についてのランチェスター戦略の実務体系はあまり知られていない。
市場が縮小するとき、各社の売上は均等に縮小するだろうか。
そんなことはない。
強者(シェア1位)の会社と、弱者(2位以下)の縮小幅は異なる。
強者の減り方は少ない。弱者の減り方は多い。
4位以下の下位は存続が困難になる。
縮小市場では強者も売上が減るが、減り幅は少なく、
シェアは上がることになる。
そして、存続が困難になった会社が撤退していくことのなれば
その分を強者が吸収することもある。
こうして強者の一人勝ちが進む。
ランチェスター戦略の基本的な考えである。
縮小市場下では、既存事業のシェアアップと同時に
新分野への進出に挑戦していかなければならない。
市場の大きく縮小すればシェアが上がっても追いつかないからだ。
その方向性は大きく3つある。
図をご覧いただきたい。
企業の成長のベクトルを示したものだ。
「アンゾフの成長ベクトル」という有名な理論を
中小企業向けに応用したものである。
横軸は製品である。
縦軸は市場である。
元もとのアンゾフの理論は
それぞれ既存、新、と区分するのだが
中小企業は、既存、周辺、新、の三区分するのが適切
と筆者は思うので、このように応用している。
既存製品と既存市場に販売することが既存事業である。
既存事業のシェアアップを図ることを後回しにしてはならない。
だが、それだけでは限界である。
このように整理すると
新分野への進出戦略には3つの方向性があることがわかる。
ここで重要なことは、製品も市場も
既存、周辺、新、の三区分し、周辺から考えることである。
「周辺製品・周辺市場」とは隣地である。
既存事業の延長線で取り組むことができる。
既存事業の実力を発揮することができる。
ヒト、モノ、カネの経営資源が潤沢になくてもできることがある。
一方で「新製品・新市場」とは飛び地である。
周辺事業とは切り離して取り組む必要がある。
既存事業の実力との関係は薄い。
ヒト、モノ、カネの経営資源が豊富でなければ難しい。
ゆえに筆者は「新製品×新市場」の全くの新規事業はお奨めしない。
成功の確率が低いからだ。
全くの新規事業で成功する社長もいるので
やってみたいと思う人がいる。
慎重に取り組んでいただきたい。
わが社の命運を賭した決定となる。
1・2・3の新分野の進出の方向性を充分に検討せずに
「新製品×新市場」の全くの新規事業を進めるのは危険だ。
相談することも大切なことと思う。