ランチェスター法則とは。ランチェスター戦略コンサルタントが解説。


提言67 ベクトルを合わせる、目的・目標・戦略・戦術の共通言語

2022年06月27日 


●福永雅文のインタビュー動画

どのような考えでコンサルをしているのか
特定市場でナンバー1になる方法、中小企業の新分野進出戦略
▶︎ 動画はコチラ

先日、社長およびそれに準ずる方を対象とした一日間セミナーの講師を務めた。受講者の受講目的のなかで多かったのが「ベクトルを合わせたい」というものだった。

ベクトルとは方向性である。そもそも人はそれぞれ別の考え方をもっている。バラバラの考え方のまま考え行動すれば、力は分散していまう。一人ひとりの能力が高く努力したとしても個々バラバラであれば、全体としての力にはならない。野球やサッカーのような団体競技を見ればよくわかる。ベクトルを合わせることでチームが一丸となり、大きな成果を上げる。

経営において大切なベクトルを合わせるためにランチェスター戦略は有効と評価する社長が多いということだ。

会社の社員のベクトルを合わせるうえで大切なことは「共通言語」をもつことである。共通言語とは同じ言葉を同じ意味で使うことである。わが社の経営に係わる重要なキーワードを定義し、共有することである。

経営に係わる重要なキーワードとは、目的・目標・戦略・戦術である。これらを共通言語にすることで会社の目指す方向性を一致させる。それがベクトルを合わせるということだ。

目的・目標・戦略・戦術

目的の「的」は「まと」である。最終的に目指すこと、すなわち「何のためにやるのか」を示す。会社全体で考えると「会社が最終的に目指すことは何か? → 経営の目的は何か? → 何のために会社は存在するのか?」このような問に答えることである。理念や存在意義となる。経営理念は最も重要な共通言語である。

目標の「標」は道しるべの「しるべ」である。道路標識の「標」である。目的(何のためにやるのか)に向かって、期限を定めて、数値で達成水準を定めることである。すなわち「どこまでやるのか」である。

会社全体で考えると、大きな目標は「中期経営目標」である。3年後に売上100億円を目指す、といったことだ。この大きな目標に向けて、今期の売上目標がある。その目標に向けて、商品別・地域別・販売チャネル別・顧客層別・顧客別・部署別・営業員別の目標にブレイクダウンされていく。目標は期限と数値で具体的にしなければならない。

目標を達成するために「何をやるか、シナリオを描き、資源を配分すること」が戦略である。シナリオとは山登りのルートのようなもの。いつ、どの地域の、どの販売チャネルの、どの顧客層の顧客に、何の商品を売るのかといったシナリオを描く。どの道筋をたどり、目標を達成するのか。

シナリオを実行するヒト、モノ、カネ、時間などの資源を最適に配分する。シナリオによって必要な資源が異なる。カネで時間を買うなど資源を交換する必要もでてくる。一方で資源によりシナリオも制約される。身の丈に合ったシナリオでなければ成り立たない。

営業部門では顧客の戦略的格付けに応じた、顧客別の攻略の方針や量である。定期訪問や非対面のコミュニケーションの頻度を定める。格付けに必要な顧客や競合の情報を「売りながら調べ、調べながら売る」ことも大切だ。

いくら立派な目標を立てても、それを達成する戦略が描けなければ、目標は単なる願望となる。目標は戦略と一体で策定していくべきものだ。

戦術とは戦略シナリオ実行の手段である。何をやるのかが戦略ならば、どのようにやるのかが戦術である。どの顧客を狙うのかが戦略ならば、狙った顧客をどのように攻略していくのかが戦術である。

商談のプロセスを定義し、標準化することが大切だ。

攻略がうまくても狙う顧客を間違えていては、その成果は限定的なものにとどまる。営業において戦術とは活動である。営業員たちの日々の尊い努力を実り多いものに導くもの、それが社長や幹部の戦略である。

社員一人ひとりの目的・目標・戦略・戦術

会社の目的・目標・戦略・戦術を共通言語化することでベクトルを合わせるが、それを強化するうえで有効なことは、社員一人ひとりにも自社で働く目的・目標・戦略・戦術を確立させることである。ベクトルを合わせることは考え方を統一することだが、人間を機械のように扱ってはならない。一人ひとりを、かけがえのない存在として認めよう。

一人ひとりの自社で働く目的とは志や夢である。目標とは成長目標である。どのような職業人になりたいのか。筆者は何かでナンバー1になることを目標にすることを奨めている。戦略とは目標を実現するために何を行うかである。戦術とはどのように行うのかの行動計画である。

会社の目的・目標・戦略・戦術と、部門の目的・目標・戦略・戦術と、一人ひとりの自社で働く目的・目標・戦略・戦術を連鎖させることが、会社のベクトルを合わせることである。


●福永雅文のインタビュー動画

どのような考えでコンサルをしているのか
特定市場でナンバー1になる方法、中小企業の新分野進出戦略
▶︎ 動画はコチラ

カテゴリー
月別アーカイブ
最新の投稿
メールで相談する

コンサル企業の実名インタビュー記事を進呈