2022年02月14日
創業65年の金属加工業K社。
三代目の社長の経営相談を受けた。
K社は大手産業機器メーカーS社の部品の加工の仕事を長年、直接受注してきた。
受注事業者が中期的に考えるべきは次の売上構成比をどうしていくかである。
1 直接受注と間接受注
2 顧客別の売上構成比
3 受注事業と見込事業
直接受注とは元請けである。ユーザーからの発注を直接受注する仕事である。
間接受注とは下請けである。ユーザーと自社の間に会社が存在する仕事である。
間接受注は一般に営業や企画に人や時間をかけなくてもよいので手離れはよい。
しかし、仕事に付加価値をつけにくく価格競争になりがち。
直接受注は逆である。手離れは悪いが付加価値をつけやすく価格競争を緩和できる。
中期的には直接受注の構成比を高めていくべきである。
K社の場合は、ユーザーS社の仕事を直接受注してきている。
年商5,000億円で世界トップシェアの製品をもつS社の仕事を長年にわたり、直接受注し
ていることは素晴らしいことである。
S社以外の仕事を直接受注していくことがK社の課題である。その取り組み方法を助言した。
受注事業は顧客の発注を受注する事業である。
顧客が発注の金額も量も決める事業である。
顧客が発注しなければ売上も利益も失う。
顧客が事業の命運を握る事業である。
1の間接受注は、そのユーザーが見えにくいので構成比を増やさないことだ。
自社の総売上に占める各顧客の売上構成比を確認しよう。
10億円の総売上に対して3億円を占める発注者がいれば30%の構成比である。
筆者は最大の顧客の構成比を25%未満にすることを奨めている。
万一、失っても四分の三が残るので何とかなる。
四分の一以上が一気に失われると経営危機となる。
そのようなリスクもあるが、平時であっても経営の自主独立性を保ちにくい。
受注事業者は顧客を増やすことが大切だ。
K社の場合は、S社の構成比が75%であった。さらにS社の仕事が増加傾向にあった。このことは今回の相談の最大の課題である。S社の売上金額を減らさずに売上構成比を下げていくためにはどうすればよいのか。この方策を助言した。
受注事業者は安定するが利益性は低い。一方で見込事業は当たれば利益性は高いが不安定である。この二つの事業を兼ね備えることは企業の発展成長に極めて有効である。
K社の場合は先代社長(現会長)が完成品を作っていた。社長の趣味レベルで、いくらにもなっていない。事業として成り立つものを中期的に考える必要がある。
受注業は一般に企画力(製品開発力)や営業力が乏しい。外部の力も借りて取り組むのも手だ。この取組みについて助言した。
以上が、受注事業者が中期的に考えるべき3つの売上構成比である。