2022年02月21日
【質問】
先日読んだ文章で、米ペイパルの創業者ピーター・ティール氏の
「競争は敗者のやることだ、オンリーワンが全てである」
という一言を目にしました。これには様々な意見があって然るべきだと思いますが、ランチェスター戦略家である福永先生はどのように考えるかご意見を伺いたいです。
【回答】
競争には2種類あります。
一つが全面対決型の同質化競争。価格競争になりがち。体力に勝るものが有利。消耗戦。
もう一つが競争回避型の差別化競争。価格競争を避ける。体力に劣るものでも戦える。需要の創出を志向。向上戦。
ティール氏は同質化競争のことを競争と呼び、差別化競争のことをオンリーワンと呼んでいると、私(福永)は解釈しました。言葉の使い方の違いで、意味は同じと思います。
質問に関連して。
レッドオーシャン、ブルーオーシャンという考えがあります。
レッドオーシャンとは血みどろの海。全面対決型の同質化競争を比喩する。
ブルーオーシャンとは競争のない市場。需要を創出し独占することを比喩する。
ブルーオーシャン論は、おおよそ差別化競争と同じと私は捉えています。
ただ、私は競争のない独占市場がよいとは思いません。
競争することで需要が活性化し市場が成長します。独占は安全とはいえません。なぜなら、弱者の「一騎討ち戦」とは一社独占先を狙うという考えがあります。独占市場や独占顧客は差別化しやすいので実は弱者にとっては狙い目なのです。
また、独占すると他に受け皿がありません。供給責任も生じます。やりたくない仕事も引き受けなければなりません。つまり、独占は成長性、安全性、収益性において弊害があります。
そもそも、資本主義は健全な競争により発展するものです。独占はそれを阻害するので法令で取り締まっています。
ティール氏の「オンリーワン」や「ブルーオーシャン」の新たな需要を創出する思想は極めて重要で、消耗戦型の競争は避けなければなりません。ですが、私(福永)は競争のなかで、それらを位置付けるべきと思います。
ランチェスター戦略では市場シェア74%を上限目標値として定義しています。上限とはそれ以上とる必要がない、むしろ取らないほうがよいとの意味です。
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