ランチェスター法則とは。ランチェスター戦略コンサルタントが解説。


提言12 事業の定義

2021年01月11日 


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どのような考えでコンサルをしているのか
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勝つためには手段を選ばないようなことでは長続きしない。

顧客や社会に果たすべき任務を
理念として確立し
自社の提供する価値を
普及啓蒙していく会社
をミッショナリー・カンパニーと呼ぶ。

その理念に基づいた戦略が必要だ。
ランチェスターはその重要な一つだ。

と、前回提言した。
第11回提言 ミッショナリー・カンパニーになろう

理念と戦略をいかに結び付けていくのかが、勘どころである。
理念と戦略を橋渡しする概念「事業の定義」が重要となる。

事業や製品を「機能」で定義する

たとえば、タニタという会社はかつて体重計を開発し
「ヘルスメーター」と名付けて販売した。
「ウェイトメーター」ではなく。

体重計を物理的に定義すると
「体重を図る機器」すなわち、ウェイトメーターになる。

体重計を機能的に定義すると
「健康で美しく生きる目的の手段の一つとして体重を図る機器、
つまり、健康や美容を図る機器」となる。
そして、ヘルスメーターと名付けた。
この分野で日本一となる。

わが社の製品が体重を図っているのは手段であって
目的は健康や美容を図っていると定義したタニタは後に
体重に加えて体内脂肪率を図る機器を開発、
「体脂肪計」と名付けて、発売する。
そして、この分野で世界一となる。

同社は筆者(福永)が主張する
「特定分野でNo.1になることが企業の永続的繁栄に最も有効」
のモデルのような会社である。

事業や製品を「顧客志向」で定義する

その後、タニタは「タニタの社員食堂」というダイエットレシピ本で
100万部超の大ベストセラーを生み出す。

もし、タニタが自社を商品志向で「体重を図る機器」と定義していたら
体脂肪計を開発していなかったかもしれない。
ダイエットレシピ本も世に出ることもなかっただろう。

顧客志向で、わが社が顧客にどのような価値を提供できるのかを定義する
ことが事業の定義の勘どころである。
あなたの会社の顧客は誰か?
どのようなニーズを満たすのか?
どのような技術でそれを成すのか?

以上の三点を深く考えることで事業を顧客志向で機能的に定義できる。

タニタの社員食堂でブレイクした同社は
・ダイエットフードの開発
・ダイエット飲食店のプロデュース
・健康管理システムの開発
と多角化していく。

事業の定義は事業や商品の成長の方向性を示すのだ。

そして、自社の事業の定義をバージョンアップする。
「健康をはかる」から「健康をつくる」へ。

事業の定義はミートされづらい根本的で強烈な差別化戦略

同社がこのように多角化していったのは
理念と戦略を橋渡しする「事業の定義」によるものと思う。

ランチェスター戦略の専門家である筆者は
その背景に、同社の「弱者の戦略」があると、勝手ながら分析している。

体脂肪計で世界一になった後
同社は、「体組成計」を発売する。
体重、体内脂肪率に加えて、筋肉量や基礎代謝量や体内年齢など
様ざまな指標を図ることのできる機器である。

それに対して年商がタニタの何十倍も大きい
大手電気機器メーカーがミートしてきた。

正面対決では分が悪い。
モノ売りでは太刀打ち困難と認識し
様ざまな差別化を模索しているなかで
タニタの社員食堂が生まれた。

このことが転換点となってコト売り路線へ転換していったのではないか。

事業の定義はミートされづらい根本的で強烈な差別化戦略でもある。


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