ランチェスター戦略を伝道する福永雅文の公式サイト |
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今から2500年前、中国春秋戦国時代に書かれたとされ、戦略のバイブルといわれる「孫子の兵法」にはじまり、戦略論には古代から、様々なものがありますが、戦争を、はじめて定量的、統計的、数学的に取り扱ったのが、F・W・ランチェスターです。
ランチェスター以前の理論は、戦争を定性的にしか捉えておらず、思想、哲学、観念といったものです。ランチェスターによって戦争は、はじめて科学されたのです。
このランチェスターをルーツにして、わが国において企業間の販売競争に勝ち残るための理論と実戦の体系として構築されたのが「ランチェスター戦略」です。
第一次世界大戦の頃、イギリス人のエンジニアF・W・ランチェスターは戦闘機の開発に従事していました。彼は自分が開発した戦闘機が戦争でいかなる成果をあげるのかに興味を持ちます。研究した結果、兵力数と武器性能が一軍の戦闘力となり、敵軍に与える損害量を決めることを発見します。これがランチェスター法則です。第一・第二の二つから成り立ちます。このランチェスター法則がランチェスター戦略の原点です。
第二次世界大戦のとき、アメリカ軍はランチェスター法則を応用し、戦闘力を敵軍と戦う直接的な力と、敵軍の後方を攻撃し敵が戦争をすることを困難にする間接的な力に分けてとらえます。ランチェスター戦略方程式といいます。コロンビア大学の数学教授であったB・O・クープマンらがオペレーションズ・リサーチ(OR=作戦研究)チームを作り、導きだしました。
戦後、ORは産業界へ応用されていきます。フォルクスワーゲン社がカナダに進出した際にも使われたといわれています。
日本ではコンサルタントの故田岡信夫先生が、これを研究し販売競争に勝つための理論と実務として体系化しました。1970年代以降、多くの企業がこれを学び自社流に応用して取り入れ実戦し勝ち残っていきました。
多くの戦略理論や経営手法がアメリカ生まれであるのに対してランチェスター戦略は原点こそ欧米ですが、ビジネス戦略として体系化づけられたのは日本です。日本発ということと多くの企業が導入してきたこと、コンサルタントやマーケッターが多かれ少なかれ、この理論の影響を受けてきていることから「販売戦略のバイブル」ともいわれます。
ランチェスター戦略とはランチェスター法則、ランチェスター戦略方程式をベースに故田岡信夫先生が構築した販売戦略、競争戦略です。イギリスで生まれ、アメリカで育ち、日本でビジネス戦略として花開いたものです。
現代では故田岡信夫先生の遺志を受け継ぐNPOランチェスター協会がランチェスター戦略の研究・教育・指導業務を司っています。私(福永)は同協会で学び、07年現在、同協会理事・研修部長を務めています。自らが経営する戦国マーケティング株式会社は同協会公認企業として、ランチェスター戦略のコンサルティング業務に専門特化しています。
ランチェスター第一法則から弱者の戦略、第二法則から強者の戦略が導きだされました。
ここでいう強者とは市場地位が1位のものです。それ以外は2位であっても弱者であると定義します。市場地位ですから、地域・商品・流通(販路)・顧客の市場単位でとらえます。ですから企業規模が大きいものが強者とは限りません。市場ごとに弱者と強者の立場は入れ替わります。
このように細分化して捉える理由は弱者と強者、この二つの立場のものの戦い方が全く異なるからです。すなわち弱者の基本戦略は差別化戦略。強者の戦略は同質化(ランチェスター戦略ではこれをミート戦略という)。そして弱者・強者にはそれぞれ5つの代表的な戦い方があります。これを5大戦法といいます。
弱者 |
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強者 |
差別化戦略 |
基本戦略 |
ミート戦略 |
一点集中主義 |
主義(商品戦略) |
総合主義(物量戦) |
局地戦 |
地域戦略 |
広域戦 |
接近戦 |
流通戦略 |
遠隔戦 |
一騎討ち戦 |
顧客戦略 |
確率戦 |
陽動戦 |
戦法 |
誘導戦 |
市場地位はマーケットシェア(市場占有率、占拠率)で判断します。故田岡信夫先生は、マーケットシェアは何%とるのがよいのか、その目標値を設定しました。ランチェスター戦略方程式を統計の専門家である斧田太公望先生と解析して導きだしたのです。7つのシェアのシンボル目標数値です。
現在の自社のシェアはどの段階なのか、そして短期・中期・長期にはどこまで伸ばしていくのか、現状分析と目標設定に活用します。
シェア |
目標値 |
意味 |
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73.9% |
上限目標値 |
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41.7% |
安定目標値 |
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26.1% |
下限目標値 |
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19.3% |
上位目標値 |
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10.9% |
影響目標値 |
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6.8% |
存在目標値 |
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2.8% |
拠点目標値 |
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*上位3つはランチェスター戦略方程式を解析して導き出しました。 *下位4つは上位3つから導き出しました(下線部がその計算式)。 |
シェアの差は下位に対してどこまでつけると安全圏なのか、上位との差をどこまでつめれば逆転可能になるのか。これを射程距離理論といいます。客内の単品でのシェア争い、地域では町丁目単位の戦い、二社間競合の場合は一騎討ち型となるので3倍差、それ以外は確率戦型になるので√3倍差(約1.7倍差)が射程距離です。敵の3倍の力で戦えば必ず勝てる3:1(サンイチ)の法則から導き出されました。
販売目標にゴールを設定するなら、それは1位でかつ2位を射程距離圏外に引き離したダントツの1位(これをナンバーワンと呼ぶ)になること。これがランチェスター戦略の結論です。第1のルールのナンバーワン主義です。
そのため弱者は事業領域を細分化し、勝ち易い地域、流通(販路)、顧客、商品を設定し、そこに経営資源を重点投入します。これを一点集中主義といいます。2つめのルールです。
3つめのルールは「足下の敵(そっかのてき)」攻撃の原則です。成熟市場において売上を伸ばそうとするなら、それは競合他社から売上を奪うことに他なりません。では、誰から奪うのが望ましいのか。それは1ランク下のライバル(=足下の敵)です。なぜなら、自社より強い敵と全面対決しては体力に劣る自社が不利だからです。狙うべきは勝ち易い敵です。しかも1ランク下からシェアを奪えば、自社が伸びるうえに敵が下がりますから差が倍つきます。足下の敵を射程距離圏外にし自社が安全圏となります。
ランチェスター戦略は大きな会社の本社の戦略スタッフが全社レベルの販売戦略を立案する際にも使われますが、最もよく使われるのは営業現場単位での戦略づくりです。世にある様ざまな戦略理論や経営手法は、戦略は本社が考え、現場は実行するのみというものが多いようですが、ランチェスターは顧客最前線の営業現場単位で戦略が必要であるという立場です。
というのも弱者・強者、シェア順位は商品・地域・流通(販路)・顧客によって入れ替わります。会社が大きいからといって強者とは限りません。逆に小さいからといって必ずしも弱者ではありません。営業現場単位で市場地位を見極め、地位に応じた戦略で戦うべきです。同じ会社でも営業現場単位で戦略を切り替える必要があります。
70年代以降、多くの企業がランチェスター戦略を営業現場単位で取組んできました。ランチェスター戦略が「ブランチ(支社・支店)の戦略」「汗の匂いのする戦略」ともいわれるゆえんです。
ランチェスター戦略の実戦体系はメーカーや卸・販売会社の営業現場の「地域戦略→流通戦略(シェアUP戦略)→営業戦略」が最も多く取組まれてきました。小売など地域に根ざした店舗型サービス業は「地域戦略」中心に。メーカーの事業開発・商品開発部門では「市場参入戦略」に取組んできました。以下に各編を簡単に紹介します。
自社商圏・テリトリーでナンバーワンになる(地域一番店になる)実戦体系。地域を細分化し、重点エリアを設定し、攻略していくノウハウと実務ステップ。ランチェスター戦略は元々、軍事戦略理論であり、地域の奪い合いという点で親和性が高く適用事例も多い。“ランチェスターの華”。
【福永コメント】地域に根ざしたビジネスなら地図づくりは必須。ゲーム感覚でビジネスが楽しみます。私(福永)もこれでランチェスター戦略にはまりました!
マーケットシェア(市場占有率)を調べるローラー調査、調べたシェア情報を分析するABC分析の方法。目標シェアを達成するための戦略策定方法として取引点率(カバレッジ)・Aa店率・構造シェア。重点取組先の標的顧客の設定方法。“ランチェスター戦略実戦の要(かなめ)”。
【福永コメント】シェア30%を来期35%にしたいとき、あと5%多く働け、といっても達成しませんね。Aa店づくり先や新規開拓先を具体名であげないと現場で役立つ戦略は作れません。そのノウハウです。
定めた標的に対してどのように攻撃をしていくのか。攻撃量と攻撃の質を顧客の戦略的格付けに応じて最適化していく方法論。SFA、CRM、ABMなど様ざまな経営手法を取り入れバージョンアップした“ランチェスターの実”。
【福永コメント】あなたの会社の営業担当者は、行くべき顧客に行くべき時に、行くべき頻度と滞在時間で攻撃していますか? 行きやすいところばかりに行っている人が大半です。適正な基準値をつくりプロセスを管理しましょう。
ランチェスター戦略は市場地位別の戦い方を指導原理にしているが、その場合の市場時期は成熟市場を前提としている。市場導入期・成長期はいかに戦うべきか、市場時期別の戦い方を指導するのが市場参入戦略編。同時に顧客階層の絞り込み方、新規事業の開発方法などを解説する。
【福永コメント】製品ライフサイクルが短い業界では必須です。