2021年10月11日
市場が大きいから儲かると思っている社長がいる。自社が、経営資源が豊富で物量戦になっても勝ち抜ける大企業であれば正しい。しかし、経営資源が限定的でライバルを上回る物量を投入できない中小企業であれば間違いである。
大きな市場や成長性の高い市場は魅力的だ。だから多くの企業が参入してくる。ゆえに競争は激化する。物量が豊富な大企業が有利となる。物量の乏しい中小企業は不利である。
東京に進出したい企業、全国展開したい企業は要注意である。
10億円の売上を30億円の市場で売上げるのと、300億円市場で売上げるのとでは、どちらが儲かるかを考えてもらいたい。
33.3%はランチェスター戦略で定義している「強者の最低条件の26%」を超えている。市場シェア1位の強者と想定できる。3.3%は同じく「存在目標値7%」を下回っている。弱者でかつ、市場のなかでの存在感がない。
ランチェスター戦略では、売上が10億円でもシェアが1位であれば「強者」であると判定する。強者とはトップブランドであり、価格主導権をもてる。価格維持力がある。粗利率が高い。また、30億円市場と狭いので営業効率がよいので営業利益率も高い。だから高収益である。儲かる。
市場にその存在感のない3.3%は弱者のなかの弱者である。価格競争にさらされ、買い叩かれる。粗利率が低い。300億円市場と中小企業の市場としては小さくないので営業効率はよいとはいえない。営業利益率は低い。ランチェスター戦略の11%影響目標値を、筆者は「黒字・赤字の分岐点」と呼んでいる。これを下回ると黒字化が困難という意味だ。3.3%だと黒字になりにくい。
図をご覧いただきたい。10億円の売上を青い丸で示した。市場は白い丸で左が30億円、右が300億円である。左右の青丸は同じ大きさだが、左のほうが大きく見えないだろうか。目の錯覚である。市場における各社の存在感にも相通じるものがある。
したがって、社長は自社の市場を小さく括り直していただきたい。
市場を小さく括り直して、そのなかで大きなシェアを確保する。これを筆者は「スモールマーケット・ビッグシェアの原則」と呼んでいる。「特定分野でNo.1シェア」になることが企業の永続的な繁栄に最も効果的である。