ランチェスター法則とは。ランチェスター戦略コンサルタントが解説。


提言51 選抜研修と階層別研修をどう組み合わせるか?

2021年10月18日 


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企業内研修は、その目的や対象によって様ざまに区分できる。その区分の代表的なものが「選抜研修」と「階層別研修」である。どちらがよいのか? 組み合わせるとしたら、どうするのがよいのか?

筆者はランチェスター戦略を指導原理に企業に営業戦略・販売戦略を導入するコンサルタントとして企業内研修の講師も行っている。講師専業ではない。社長に助言し、企業に戦略を導入し、社員に教育する一貫としての講師業務であるが、20年以上もランチェスター戦略コンサルタントをしているので、経験が豊富だ。今回は研修について提言したい。

  • 選抜研修とは、受講者を会社が選抜して行う研修である
  • 階層別研修とは、たとえば営業所長なら営業所長の全員が受講する研修である
    新人、若手、中堅(所長代理・係長級)、所長・課長級、支店長・部長級のような階層別に行う
    選抜研修は「引き上げ」を目的とし、階層別研修は「底上げ」を目的にしている。

たとえば社会人10年目前後の中堅(所長代理・係長級)のなかから優秀な社員を選抜して選抜研修を行う。所長・課長の仕事ができるように教育し、研修を通じて適格性を見極め、次期の所長・課長の選定の参考とする。選抜研修とは「引き上げ」が目的である。

所長・課長となったら、所長・課長としての標準的な仕事の仕方をしてもらう必要がある。そのための階層別研修として所長・課長の全員を研修する。階層別研修とは「底上げ」が目的である。

選別研修は、優秀で将来有望な人が選ばれるので、多くの人は前向きに研修に取り組む。階層別研修は「やらされ感」を感じながら参加する人もなかにはいる。

だからといって、やる気のある選抜研修だけでよいとはならない。多発すると選抜されない人のやる気を損なうことになる。選抜の基準に納得感が求められる。全営業部門で標準的に進めたいことにバラつきが生じる。「選抜研修」と「階層別研修」をうまく組み合わせるのが効果的である。

どう組み合わせるのか。ランチェスター戦略コンサルタントとして20年以上もの間、研修をしてきた経験を踏まえて、社長に提言したい。

「選抜研修」と「階層別研修」の組み合わせ方

筆者の研修メニューは大きく三つに区分できる。

  1. ランチェスター戦略を企業に導入する研修
  2. 歴史に学ぶリーダーシップ研修
  3. オーダーメイド研修

②と③は別の機会に解説するとして、ここでは①の研修について話をすすめる。
「ランチェスター戦略を企業に導入する研修」は全営業所長・課長を対象に行うことが多い。全営業部門に、ランチェスター戦略を理解してもらい、ランチェスター式ABC分析などを実施して、営業所別に目標・戦略・行動計画を策定し、発表してもらうことを標準メニューとしている。

全営業所を同時期に実施することが多いが、実施時期をずらすこともある。一部の営業所をモデル営業所としてトライアル実施し、軌道修正してから全国展開していくやり方である。成果の出やすい営業所を選抜してモデル営業所とする。時間差をつけることで階層別研修に選抜研修の良さを取り入れた方式である。

階層別研修で全営業部門に戦略を導入しても、その進捗にはバラつきがでる。PDCAをしっかりやらなければ定着せず、成果を実感できるところまでたどりつかないこともある。戦略導入後のPDCAや定期的なフォローアップのメニューも用意している。

そのフォローアップ策として有効なのが、営業所長の全員を対象とした階層別研修の後に、選抜研修を行うことである。選抜した営業員に研修を実施し、ランチェスター戦略の営業方法のモデル営業員として成果をあげてもらおうとするものである。

選抜研修は本人を「引き上げ」が目的だが、全体を引き上げるモデルになってもらう役割である。その役割を果たした人が昇進していく方式だ。

ランチェスター戦略の営業方法は営業員の仕事の進め方を変えることになる。ハードルが高いチャレンジを成功させるためにはモデル営業員が有効である。具体的な例で解説しよう

建設設備メーカーの事例

同社の主たる商流は、建設設備の販売会社(代理店)を通じて建設工事店への販売である。建設工事店の元請けのゼネコンや施主や設計事務所といった源流への情報収集活動も行っている。

  1. 代理店や工事店へ定期訪問して発注者との信頼関係を築き、案件発生時に先発して取り組むことが有効である。
  2. 案件が発生したら仕様を確認し図面と見積と在庫確認を早く提出することも大切である。

1の訪問頻度と、2のクイックレスポンスのバランスが重要だ。2は図面がからむので技術営業的である。スピードや図面の完成度を求めると内勤時間が増えて訪問頻度が減る傾向があった。コロナの影響もあったが、平均すると一人一カ月で20回程度しか訪問していなかった。これは少なすぎる。まずは残業を増やすことなく30回以上にする必要があった。

そこで、ランチェスター式のABC分析を行い、顧客の戦略的格付けを行い、訪問頻度を定め、訪問計画を策定し、予定と実績の予実管理を、営業所長の全員を対象とした階層別研修で導入した。

一方、同社では選抜研修も実施した。選抜研修の課題は選ばれる人・選ばれない人の納得感である。
納得感の高い選抜研修を実施した。それはすべての営業所で読書会を実施し、そのなかで理解度テストを実施し、優秀な人が自動的に選ばれる方式である。選ばれたければ勉強すればよいのだから。拙著「ランチェスター戦略『営業大全』」を教材とした。理解度テストがついているので研修や読書会向けである。

研修を行い選抜者に訪問の予定と実績の予実管理を行ってもらい、その進捗をモニターした。一人の選抜者の状況を紹介しよう。

  1. 1 月間訪問回数の変化は?
    →戦略導入前は平均22回/月。導入後3カ月平均31.3回/月で9.3回増加
  2. 残業は増えたか
    →横バイで変化なし
  3. 増えた理由は何か
    ランチェスター戦略研修で学んだ訪問の方法を実施。①曜日ごとに訪問する方面(東西南北)を決めた、②アポは朝9時、昼13時、夕方17時にとる、③アポとアポの間についでに回れるところに回った
  4. 訪問計画の達成率は?
    →導入後3カ月平均で96.9%
  5. 訪問計画の達成の要因は何か
    ランチェスター戦略研修で学んだ計画策定とPDCAのまわし方を実施。①月間での訪問回数を決定し、それを週間ごとに振り分け、最終的に1日の訪問計画へ落し込む。②日次で朝の出発時間と1日の訪問件数を確認、③週次で月間件数の進捗確認、④月次での結果管理と翌月の計画。以上をルーティン化して実施。

このモデル営業員は恐らく業績目標も達成するだろう。こんなモデル営業員が何人もいれば、ランチェスター戦略に基づいた営業方法を変える取組みは全社で定着し、成果があがっていくだろう。

選抜研修を本人の「引き上げ」のみならず、全体の「引き上げ」のモデルとしての役割を担わすことを社長に提言したい。選別研修は池のなかに石を投げこむことに似ている。モデル営業員やモデル営業所の成果は波紋が広がるように全社へと波及していく。

階層別研修に、選抜研修を組み合わせることにより、それが実現する。

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