2020年10月26日
社長の仕事は決定・実行・責任である。わが社の永続的な繁栄のために目指すべき方向を決定する。決定したことは実行する。実行した結果がいかなるものであったとしてもその結果責任は社長が負わなければならない。
わが社の興亡を賭けた極めて重大なことを決定しなければならないこともある。迷っているうちに機を失うこともある。重要かつ緊急の仕事である。
従業員30人くらいまでの小規模の会社の多くは「決定・実行・責任」のすべてを社長一人で行っていることが多い。ワンマン経営という。ワンマン経営の会社は、社長次第である。コロナや景気や需要動向もあるにはあるが、外部要因を言い訳にしていても仕方がない。
ワンマン経営の会社の業績格差は、社長の実力(経営手腕)格差である。社長には自らの判断基準や考え方を磨き上げていってもらいたい。このコラムで、そのヒントを提供していきたい。
ただし、従業員30人を超えた中規模になるとワンマン経営の限界がくる。ランチェスター戦略コンサルタントを20年以上やって多くの会社と社長をみてきた素直な思いである。社長がわが社を、30人以上の規模の会社にしようとするなら社長に、参謀役と補佐役を加えたトロイカ経営にしていくことを筆者(福永)は奨めている。
社長の第一の仕事の「決定」のうち、重大な決定については、助言を求めることが有意義だ。その助言機能を果たす人を参謀役と呼ぶ。この機能は100人未満の規模の場合は社外の専門家でよいと思う。財務会計や資金調達、人事労務、法務など分野ごとに専門家に助言を求めればよろしい。
ランチェスター戦略コンサルタントである筆者(福永)は、広い意味での販売・営業と競争の専門家である。顧客層・商品・地域・販売チャネルの何でナンバーワンを目指すのか、どのように目指すのかといった分野で助言してきた。
販売の体制、組織、方法を社長とともに考え、販売戦略を練り上げた。販売組織に戦略の共通言語を導入し、リーダーの育成にも携わった。社長の参謀役として、経営相談、コンサルティング、研修などを行ってきた。
100人以上の規模になれば、外部の専門家の活用とともに経営企画、営業企画、社長室といったスタッフを内部に育てていく段階となる。
こうして助言機能を使いながら社長は決定する。決定はあくまでも社長の責任のもと下す。参謀役が決定するわけではない。助言機能があってとしても、社長は自らの判断基準や考え方を磨き上げなければならない。助言機能は決定の精度を高めるものであって、決定機能そのものではない。
社長の第二の仕事の「実行」を社長に成り代わって監督する機能を果たす人を補佐役という。番頭、ナンバー2といったほうがわかりやすいかもしれない。参謀役は社外にいてもよいし、100人未満の場合は、むしろ、そのほうが良いと思う。しかし、補佐役・番頭は必ず社内に必要である。
補佐役・番頭は扇の要のような組織の重要な存在である。30人規模の会社が100人規模に成長できるか否かは社長がよい補佐役・番頭を得られるかどうか、育てるかどうか、にかかっているといえるほどだ。
・補佐役を能力で選ぶことをお奨めしない。
・補佐役が参謀役を兼ねることはお奨めしない。
・後継者に補佐役や参謀役をさせることも限定的にしたほうがよい。
理由は長くなるので、別の機会に解説する。興味があれば筆者にお問い合わせを。
実行機能を果たす補佐役は実行責任を負うことになる。しかし、結果責任は補佐役では負えない。結果の責任はあくまでも社長でしか負えない。
実行の監督という実務を手放すことで時間を確保した社長は、わが社の永続的な繁栄のために目指すべき方向を考える、組織の仕組みを考える、次の事業の仕込みを行うといったことに取り組むべきだ。そのときに参謀役を使うのが有効である。
このように社長は決定の判断基準や考え方を磨き上げて自らの実力(経営手腕)を高めていってもらいたい。このコラムは、そんな社長を応援する目的で書いていく。社長であるあなたのご意見、ご感想、ご質問、ご相談があればお気軽にメールください。時間がかかっても必ず返信します。
今回はここまで。