ランチェスターの法則とは何か、どのように学ぶべきか、実践するとどうなるのか。ランチェスター戦略コンサルタントが解りやすく解説します。


第32回 名営業員、必ずしも名営業所長にあらず

2021年06月07日 

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前回の提言31でノムさんこと故野村克也さんの「名選手、必ずしも名監督にあらず」を紹介した。
提言31はコチラ

あなたの会社も、優秀で成果を挙げてきた営業員を営業所長や課長に昇格させてきたと思う。だが、営業員として輝いていた人が所長や課長になって輝きを失ってしまうという話を筆者はよく見聞してきた。

「名選手、必ずしも名監督にあらず」はスポーツ界のみならず、ビジネス界でもありがちな話である。いわば「名営業員、必ずしも名営業所長にあらず」はなぜ起こるのか。
どうすれば「名所長」になれるのか、社長はそれをどう導くのか。

また、営業員が10人未満の小さな会社の場合は「社長兼営業所長」のようなものである。所長を社長に置き換えてお読みいただきたい。

ノムさんの「名選手が監督になったときにありがちな失敗」は、次の3点に整理できる。
1 選手個々の才能と技術に頼った、ただ打って走るだけの粗い野球
2 データやチームプレーを重視しない作戦の粗い野球
3 自分ができたことは、皆もできると思い込み、言葉(論理)で指導できない監督になりがち

これを営業部門に応用すると、次の3点に整理できる。
1 部下の能力に頼った営業部門
2 情報不足、戦略不足、チームパワーの発揮不足の営業部門
(②についてはランチェスター戦略を学び、取り入れていただきたい)
3 部下の状況に合わせた論理的で実務的な育成・指導ができない営業部門

まとめると名選手も名営業員も、監督や所長になると
・能力の高い部下がたくさんいれば業績が上がる
・業績が上がらないのは部下の能力の問題
と考えてしまう。このいわば能力至上主義では、名監督や名所長になれない。では、どうすればよいのか。そうなってしまう原因からひも解いていきたい。

能力至上主義者、自助努力至上主義者はリーダーとして不適正

名営業員(能力が高く優秀な営業員)の多くは、自助努力で能力を高め、成果をあげてきた。そんな人はこう考えがちだ。
・自分は上司や先輩にろくに教わっていない。自助努力で何とかしてきた
・だから部下ができないのは努力不足だ

確かに努力はしたと思うが
1 人並みはずれて能力が高かった
2 処世術が優れていた
3 運がよかった
4 上司に育成されたことを忘れて、自助努力だけで育ったと勘違いしている
かもしれない。

①②は統計的には上位15%~20%程度しか存在しない。この考えは残りの8割以上を見捨てることにつながり、組織のリーダーとしては不適性。③は偶然である。偶然不運だった人もいることに思いをはせられない人はリーダーとしては不適性。④は育成することを軽視している。そもそも感謝や互助(助け合い、お互い様)の精神が欠けていて、リーダーとして不適性。

ただし、自助努力は必要だ。なので、自助努力だけで成果を求める考えは組織人としては不適性である。自助努力至上主義は一匹狼の思想である。標準的な仕事の進め方をすれば標準的な成果が得られるのが組織というものだ。一匹狼のまま名営業所長にはなれない。名営業所長とは羊の群れのリーダーの思想が求められる。

自分でやったほうが早い症候群

ほとんどの営業所長はプレイイング・マネジャー(担当顧客をもち、個人としての売上目標がある)である。支店長になってはじめて個人としての顧客の担当からはずれるのが一般的である。

能力至上主義で自助努力至上主義のプレイング・マネジャーは「自分でやったほうが早い症候群」に
陥る。この症候群には2つの型がある。

●自分でやったほうが早い症候群1型「部下の仕事を不満に思う」
・こんなこともできないのは、やる気がないからだ
・仕事に真剣に向き合っていないからだ
と考えるので
・部下に期待しても組織目標の達成は困難
・期待できないので自分でやったほうが早い
・部下に任せて失敗したら、フォローが大変
・責任は上司がとらなければならない

部下の仕事をとりあげて、プレイヤーとして平均の2倍程度の成果をあげることで組織目標の達成を図ろうとする。

●自分でやったほうが早い症候群2型「部下に負荷をかけたくない」
・チーム目標を達成するためにトッププレイヤーである自分がやったほうが確実
・部下の残業を減らさなければならず、業務量を増やせないので自分でやる
・部下に今以上の負荷をかけたくない、嫌われたくない

部下の目標を減らし、自分の目標を平均の2倍程度に引き上げることで組織目標の達成を図ろうとする。

かつては1型のほうが多かったが、年々、2型が増えてきたように感じる。子供の頃に「巨人の星」や「アタックNo.1」などの「スポ根」を見て育った世代、かつての体育会のようにしごかれて育った人などは1型だが、そうでない人は2型が多い。世代でいうといま40歳台後半以降に1型が多く、40歳代前半以前に2型が多いと感じる。

近年、残業減の優先順位が高くなってからは2型が主流となった。残業減のしわ寄せが所長にきていることは気の毒である。そんな上司をみていると、所長になりたくないと思う部下が増える。この会社にいても将来性がないと思う部下が増える。

2型の所長がいる会社の社長や支店長は改革に取り組まなければならない。それについては提言26「残業は減らせ、ただし、業績はアップせよ」から29回までの4回に分けて解説しているので、参照されたい。

部下に丸投げ症候群

1型でも2型でも「自分でやったほうが早い症候群」には限界がある。プレイイング・マネジャー1人が奮闘努力すれば部下が3名くらいまでなら目標を達成できるが、5名以上となると難しくなる。平均の2倍はできても3倍できるものではない。

そんな所長に社長や支店長はこう助言するだろう「もっと部下に仕事をさせなさい。任せる勇気を持ちなさい」と。

それを聞いた所長は部下に任せることにするが、所長は能力至上主義者の自助努力至上主義者である。支店長や社長も同じタイプである場合が多い。その任せ方は放任的となる。これを「部下に丸投げ症候群」と呼ぶことにする。

丸投げされた部下の5人のうち1人くらいは自助努力で何とかするだろう。だが、丸投げでは5人中4人の成長はおぼつかない。

ほとんどの部下は上司より経験が乏しく、スキルが低く、情報も乏しい。モチベーションが低い人もいる。部下の状況に応じて適正な指導がなければ部下は育たないし、部下の業績は上がらない。

以上で課題は整理できた。では、どうするかについては別途、提言することにしたい。

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