2021年02月08日
2/7にNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が明智光秀の「本能寺の変」で最終回を迎えた。間を空けずにその次の日曜日の2/14から渋沢栄一を主人公とする「青天を衝け」が始まる。「本能寺の変」から「幕末」に物語の舞台が移る。
いまを生きる、そして未来を切り拓いていく私たちは、歴史に何を学び、どう活かすのか。「歴史に学ぶリーダーシップ」はランチェスター戦略に続く筆者(ふくなが)の第二のテーマである。
「本能寺の変」はなぜ、起きたのか。どうすれば起きずに済んだのか。信長の立場から考えてみると、「組織と人」、「社長と幹部」のあり方を考えるヒントとなる。
渋沢栄一は資本主義の父といわれる。渋沢の経営思想は著書「論語と算盤」によって語られている。論語とは道徳を代表し、算盤とは利益を追求することを意味する。いま風にいうと「理念と戦略」である。この思想は江戸時代の「近江商人の三方よし」とも共通する。昭和の松下幸之助氏、平成の稲盛和夫氏の経営思想にも影響を与えている。経営の極意がそこにある。
筆者は「麒麟がくる」と「青天を衝け」の2つのドラマには経営者にとって押さえておくべき、重要な共通のテーマがあると考える。
信長がどうであれば「本能寺の変」は防げたのか。そのことを渋沢の経営の極意の「論語と算盤」を読み進めていくと答えが浮かび上がった。それは、「王道」と「覇道」という、中国の古典のリーダーシップの考え方である。徳によって仁政を行う「王道」と、武力によって政治を行う「覇道」。敵ながらあっぱれと言われるような美しく立派な戦い方をして勝つ「王道」と、勝つためには手段を選ばない「覇道」。
戦略を取り扱う筆者(福永)はもちろん、人の上に立つ社長が肝に銘じておかなればならない思想である。
本能寺の変を覇道から王道に転換すべきときがきたと進言する光秀と、覇道に徹すべきとの信長の思想対立ととらえると、「麒麟がくる」と「青天を衝け」のテーマは共通する。
そのことを武蔵野銀行と千葉銀行の合同の講演会で講話した。千葉銀行の会報誌で講演採録が掲載された。当社メールマガジンへ登録された方へ公開している。