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提言43 なぜ、全員参加型の営業マニュアルなのか?

2021年08月23日 


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筆者(福永)はコンサルティング先に「全員参加型営業マニュアル」の導入を進めている。営業部の全員が参加して営業マニュアルをつくるという手法である。筆者以外にこの手法を行っているコンサルタントを知らない。当社独自の手法と思う。なぜ、この手法が有効なのかについて解説しよう。

23年前に独立する以前から、筆者は「営業マニュアル」をいくつも手掛けてきた。また、コンサルや研修をする際に必要に応じて、その会社のマニュアルの内容や運用状況を把握してきた。

長い業務経験のなかで感じたのは「世に営業マニュアルは数あれど、有効活用されているケースは少ない」ということだ。マニュアルに「やらされ感」を感じている営業員が多いのが最大の理由だろう。
これは活動管理や案件進捗管理にシステムを導入しても活用が進まない理由と同じである。

導入当初はごく一部の人だけが積極的で、2割程度の人は軽視していて取り組もうとはしない。残りは多少はやるが中途半端といった状況の場合が多い。「2:6:2の原則」が当てはまっている。

この状況を改善するために、マニュアルをつくるだけでなく、その活用を促進させ、成果をあげていくための研修もやってきた。マニュアルを基にしたロープレの導入や改善にも携わってきた。マニュアル通りにやる意図や意味を納得いくまで解説し、やれることからステップバイステップで推進していった。それでもなかなか進捗しない。浸透し手ごたえを感じ、定着するまでに時間がかかる。残念ながら定着しなかったこともある。

業務の効果と効率を上げるためにマニュアルや情報システムがあるはずなのに、活用が進まない現実を受け止めて、整理して、根本的に対応する必要を感じた。なぜ、営業現場は営業マニュアルに「やらされ感」を感じて消極的なのか。

ベテランの営業は、長いキャリアのなかで仕事の進め方を確立してきた。マニュアルは、その自分のやり方を否定されているように思う人もいる。感情的に受け入れられない。また、やり方を変えるリスクを負いたくない。業務が標準化されることで、自分自身が取り換え可能な人材になることへの不安もある。

そもそも営業部門は業績がものをいう組織風土がある。業績という結果がよければそれでよい。「勝てば官軍」である。適正なプロセスを実行しても業績が悪ければ「負ければ賊軍」である。その背景があって、ベテランやトッププレイヤーがマニュアルに否定的であれば、若手もその影響を受けてしまう。

このように「やらされ感」を整理することで、突破口が見いだせた。「やらされる」のではなく「主体的にやる」仕組みをつくることだ。

テイラー型かドラッカー型か

「計画と執行(実行)を分離することが効率を上げる」とは、科学的管理法の父といわれるテイラーの重要な主張である。一方でマネジメントの発明者といわれるドラッカーは「計画と実行を分離させてはならない、なぜなら策定に関与していない計画に主体的に取り組みにくいからである」と主張した。
計画に関与させることで実行を推進するのが効果的であるとの考えだ。効率優先のテイラーと効果優先のドラッカーと筆者は整理している。

会社が用意したマニュアルを現場に導入するのはテイラー型である。製造現場ではうまくいっているが、日本企業の営業現場ではうまくいかない場合が多い。そこで、営業現場はドラッカー型で営業マニュアル策定に関与させるのが効果的ではないか、との結論に至ったのだ。それが「全員参加型営業マニュアル」である。

では、どのように、策定するのか。次回に解説する。早く知りたい方は拙著「ランチェスター戦略『営業』大全」280ページを参照していただきたい。
>>https://sengoku.biz/出版物/ランチェスター戦略「営業」大全


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