ランチェスター法則とは。ランチェスター戦略コンサルタントが解説。


提言42 勝ち方の原則をランチェスター法則から導き出す

2021年08月16日 


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第一次世界大戦のときにイギリスで提唱された「ランチェスター法則」という軍事理論から、「戦いの原理」と「勝ち方の原則」を導き出して、経営(企業間競争)に応用して確立されたのが「ランチェスター戦略」である。前回の提言41で「戦いの原理」について解説した。

>>https://sengoku.biz/福永雅文のブログ/社長の原理原則/第41回_ランチェスター法則から導き出された「戦

今回は「勝ち方の原則」を解説する。

ランチェスター法則と、戦いの原理

ランチェスター法則は二つある。

■第一法則
戦闘力=武器性能×兵力数

■第二法則
戦闘力=武器性能×兵力数の2乗

この二つの法則から戦いの原理と勝ち方の原則が導き出される。

原理とは物事の「根本」とその「仕組み」である。

戦いの根本は「強いものが勝つ」である。

戦いの仕組みはランチェスター法則が示している。武器と兵力の掛け合わせである。質の要素と量の要素の掛け合わせである。ただし、第二法則が適用する近代的な戦い(企業間競争に当てはめると、総合的な戦い、物量的な戦い)の場合は兵力(量)が2乗となるので、勝ち負けは量で決定づけられる。

「大」の勝ち方の原則

戦いは兵力の多い軍と少ない軍で争われる。企業間競争に当てはめると大きな会社と小さな会社である。すなわち、「大」と「小」である。

兵力数の多い「大」は有利である。勝って当たり前である。だから効率よく勝つことが求められる。
第二法則で戦うと兵力数が2乗となるので、「大」の有利さは圧倒的になる。よい武器をもつことは効果的だが、兵力が多いので、敵と同等以上の武器であれば勝てる。敵よりよい武器をもつことの優先度は高くない。また、「小」は「大」とまともに戦っても不利である。「小」は「大」の隙をつこうとするものだ。「大」としては「小」につけいる隙を与えないことである。

「大」の勝ち方の原則をまとめる
①第二法則の戦い方を選ぶ
②武器は敵と同等以上であればよい
③相手につけいる隙を与えない

「小」の勝ち方の原則

兵力数が少ない「小」は不利である。まともに戦うと負けるだろう。どうすれば勝つ可能性が見出せるのか、効果的な戦い方が求められる。第二法則で戦うと兵力数が2乗となるので、「小」の不利さは致命的になる。第一法則で戦うと、一対一で戦える。兵力数の少なさをある程度打ち消すことができる。「小」は第一法則が適用される一騎討ち戦、局地戦、接近戦で戦うべきである。次に、武器の性能を高めることである。兵力が少ないうえに武器が弱ければ勝ち目はない。三つ目が兵力数である。増やすことができないならば、兵力数の使い道を工夫する。一点を定めて、そこに兵力を集中投入する。定めた一点において、兵力の多い状況をつくれば、その一点では勝てる。

「小」の勝ち方の原則をまとめる
①第一法則の戦い方を選ぶ
②武器の性能を上げる
③兵力を集中する

これを筆者は「小が大に勝つ三原則」と呼んでいる。全体で勝つのではなく、部分で勝つことに他ならない。

局所優勢主義と各個撃破

勝ち負けは全体的な強さではなく、戦っている個々の局面において強いものが勝つ。

つまり
「競合局面における敵と味方の力関係で勝敗が決まる」

力関係の強弱は
ランチェスターの法則が示す通り

「質の要素 × 量の要素」

であり、敵を相対的に上回れば勝てるということだ。
絶対的な強さではない。
「戦捷の要は、有形無形の各種要素を総合して
敵に勝る威力を要点に集中発揮せしむるにあり」

と、作戦要務令(戦前の陸軍将校のテキスト)に書かれている。

「局所優勢主義」という。

一つ勝ったら、二つ勝つ。
二つ勝ったら、三つ勝つ。

こうして部分的な勝ちを積み重ねて、全体の勝利を目指す。

「各個撃破」という。

競争戦略への適用

これをビジネスに適用すると

  • 勝てそうな事業領域を定め
  • そこに敵を相対的に上回る質の経営資源、量の経営資源を投入

すれば勝てる。

では、この勝ち負けは誰が判定するのか。
それは顧客である。あるいはその集合体である市場である。
ゆえに、敵に勝っても顧客・市場に支持されなければどの企業も負けとなる。

相対的な強さのみならず、絶対的な強さも必要であることはいうまでもない。

顧客・市場の判定結果は「市場シェア」で示される。
市場シェアこそ、企業の強さを示す指標値である。


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