事例:月刊SMBCマネジメントプラス23年11月号ジャクエツ様 

創業以来、幼児教育に関わる多種多様な商材をワンストップで設計・製造・販売してきた株式会社ジャクエツ。現在、全国 67の営業拠点でランチェスター戦略を取り入れ、効率的な営業活動や、既存事業の深耕のために役立てている。また、幼児教育に関する知見を街づくりやコンサルティングに活かし、ビジネスの場を広げている。同社の取り組みについて、取締役常務執行役員の杉田隆氏、営業本部次長の瀬沼祐一朗氏、経営企画室の赤石洋平氏に聞いた

当社は1916年、福井県敦賀市で幼稚園を運営することから始まりました。そこで使用する教材・教具を自前で考案・製造したことをきっかけに、幼児教育用品の製造直販事業に進出します。越前和紙が有名で、最初は色がみなどをつくっていましたが、お客さまの要望に合わせて取り扱う商材を広げ、遊具や備品、通園服までワンストップで提供するようになりました。

今では幼児教育・保育市場において、クレヨン1本から遊具や園舎設計まで総合提案ができるのが、当社の強みになっています。子どものことを第一に考えた仕事をするという信念が、当社のDNAとして100年間受け継がれていく中で、幼保市場の深耕に務めてきた結果です

現在は幼稚園や保育園、認定こども園などを対象にした「教育サポート事業」に加え、園舎の設計やリノベーションをはじめ環境や空間全体を提案する「空間・街づくり事業」も行っています。企業、自治体が地域や施設の活性化に取り組む際、重要となるのが人が集う場です。年齢や障がいの有無にかかわらず、共にあそべる場が求められ、子どもや遊具をはじめとした設備の安全性に対する知見が深い当社に依頼が来るようになりました。現在は商業施設や美術館、道の駅、空港などのあそび場も手がけています

子どもの感性を育むような空間づくりにも携わっており、富山県美術館のリニューアル時には、屋上に「オノマトペの屋上」をつくらせていただきました。ユニークな遊具を設置し、子どもも大人もあそびながらアートに触れてもらうことができます

また、教育サポート事業の周辺事業として行っているのが「コンサルティング事業」です。取引先からよくアドバイスを求められたことから、事業に発展させたものです。幼稚園・保育園は今後どういった方向に進むべきかという視点を踏まえた、教職員の働き方や募集などの経営支援も必要とされており、教育現場に対する研修やセミナーも行っています

当社の売上は、かつては教材・教具などが中心でしたが、年々、園舎・園庭など環境づくりのシェアが大きくなり、現在は売上の半分以上を占めています。園舎の建築設計は一番川上に当たる仕事となり、そこに紐づいて備品や教材・教具の注文も増えるという好循環が生まれています。

このような事業展開を行っている当社が現在、事業運営に取り入れているのがランチェスター戦略です。当社は直販体制をとっており、北海道から沖縄まで67の営業拠点があります。お客さまの多くは、幼稚園や保育園、認定こども園の経営者の方々です。営業担当者がルートセールスで各園を訪れて丁寧にお客さまの声を聞き、製品に反映させる、ということを繰り返しながら、事業を拡大してきました

さらに営業効果を高めるため、全国一律だった営業手法を、各エリアの市場特性に基づいた、その地域ごとに最適な手法に変えました。各エリアで「接近戦」を展開することで、お客さまから最も支持される市場ナンバーワンの企業を目指しています

例えば、会社全体としてはトップシェアでも、地域の特性によって強みとなる商品分野は異なるため、営業拠点ごとに細かく落とし込み、分析することで、どこに伸びしろがあるのかを探ります。これは当社に今までなかった視点でした

この結果、全国一律に訪問件数を増やすのではなく、質も重視した論理的な営業活動ができるようになってきました。これにより、効率的な時間配分が可能になるため、従業員の働き方改革の面でも意義があるでしょう。ランチェスター戦略の導入の成果は、今後さまざまな面で表れてくると思います

さらに、専門家を招き、各営業拠点のマネジャーにノウハウを伝えることや、次世代を担う社員向けの研修も行っています。学んだことが日々の営業活動に落とし込めると、現場のマネジャーからも好評です。

現在、当社では「未来は、あそびの中に。」という企業スローガンを掲げ、質の高い教育環境の実現に取り組んでいます

あそびについて現場の声を聞き、製造して、届けるというループを回し、改善を重ねてきました。子どもが使う道具や設備は高い安全性が求められるため、自社の厳しい安全規準は空間・街づくり事業などの案件にも活かされています。さらに、あそびを研究し、実証し、社会課題を解決するという活動にも取り組んでいくため、2015年にはあそびの研究所 「PLAY DESIGN LAB」を立ち上げました。外部フェローと社員がチームを組み、常識にとらわれないあそび環境の研究や製品開発を行い、これまでになかった新しいデザインの遊具をつくるなどしています

将来的には、日本の乳幼児教育のメソッドやハードを世界へ発信することも検討しています。北欧の教育が進んでいるといわれますが、次の100年を考えると日本の教育の良さを伝える必要もあると感じています

一方、国内の少子化は当面止まりません。幼稚園・保育園を単独の施設で運営していくよりも、学童保育や療育の分野など複合的な事業展開が必要になります。幼児教育向けの各種商材のトータル提案を軸に、自社の知見を活かした社会課題の解決や地域の活性化などに取り組みたいと考えています

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